#T002|霧立つ山間に刻まれた八百年の歳月 - 後編 -

#T002|霧立つ山間に刻まれた八百年の歳月 - 後編 -

京都府南部、和束川が静かに流れる山間の里に、一筋の霧が立ち上がる。ここ和束町は、日本茶の心臓部と呼ぶにふさわしい場所──鎌倉の世より受け継がれる茶の系譜が、今もなお脈々と息づいている。MIOKAが和束の地に深く根ざす理由は、この土地に宿る時の重層と、茶葉に込められた無形の記憶にある。

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現代に息づく宇治茶の心臓部

現在も茶産業は主産業であり、京都府の生産量の45%を占め、高品質宇治茶として流通、高い価格で取引されています中でも和束町は宇治茶の4割弱を生産し、てん茶の生産量は全国シェアが2割ほどとトップクラスを誇っています

しかし数字では表せない価値がここにはあります。800年にわたって急斜面を手鍬で開墾をして茶畑を作り、常に高品質な茶生産を続けてきたことが地域の誇りとなっています。機械化が進む現代でも、乗用摘採機が入れる茶畑がほとんどなく、今も可搬式摘採機による収穫が主流です。この手間こそが、和束茶の品質を支える土台なのです。

MIOKAが和束を選ぶ理由

和束の茶は、単なる農産物ではありません。それは時間の積層であり、人と自然の対話の記録です。慈心上人が播いた一粒の種子から始まった物語が、今もなお続いている──この連続性こそ、MIOKAが大切にする「時間を超えた接続」の具現化です。

『和束のお茶』として第43回(平成元年)、第52回(平成10年)全国茶品評会農林水産大臣賞を受賞しました。しかし真の価値は賞にあるのではなく、和束の茶農家一人ひとりが守り続ける「茶への敬意」にあります。

一服に込められた和束の時間

MIOKAの茶を淹れるとき、お湯の温度は70-80度、蒸らし時間は1-2分──これらの数値の向こうに、和束の朝霧と夕霧を感じていただけるでしょう。茶葉が湯に開く瞬間、八百年の時が静かに解き放たれます。

和束の茶畑を歩いたことがなくても、一口含んだ瞬間にその風景が心に浮かぶ。それは和束という土地が持つ記憶の力であり、茶という媒体を通じて伝わる無形の遺産です。

余韻に宿る永遠性

この独特の地と、茶の匠たちの並々ならぬ努力によって、800年以上も前から栽培が行われており、その歴史は家族経営で紡がれてきました。和束の茶を一服するということは、この途切れることのない時の流れに参加することです。

口の中に広がる霧香の余韻が消えても、和束の風景はいつまでも心に残り続ける。それがMIOKAの茶が持つ、時間と空間を超えた接続力なのです。